グリーンボンドとは、企業や自治体が「集めたお金はすべて環境への取り組みに使います」と約束して発行する債券のことです。
この場合の「債権」とは、人々からお金を集めるためのしくみで、「社債」や「地方債」などがあります。債権を買った人は、決められた期間、その会社や自治体にお金を貸すことになり、その間の利息を受け取ります。
これまで、社債や地方債を買う人たち(以下、投資家といいます)の多くの関心は、どれだけ利息がいいかということでした。
しかし最近、投資家の中に、「環境や社会にとって役に立つ企業や自治体にお金を出したいなあ」と考える人が増えています。
ただ、そういった投資家の人たちは、必ずしも環境の専門家ではありません。なので、企業や自治体の取り組みが、本当に環境にとってよいかどうかの判断はむずかしいでしょう。
そもそも、「環境への取り組みに使います」と言うからお金を出したのに、そのお金が他のことにも使われてしまうかもしれません。
「それはいやだな」ということで、投資家が慎重になってしまっては、地球温暖化や公害問題の解決が遠のいてしまいます。本当に環境のためになるプロジェクトを考えている会社や自治体が、お金を集めることが難しくなるからです。
そこで、世界の国や金融機関は、グリーンボンドの「ガイドライン」を定めてお金を集めやすくしました。日本にも、環境省の「グリーンボンドガイドライン」があります。
ガイドラインによると、グリーンボンドの発行時に、プロジェクトの内容や成功の見込み、集めたお金の使い方を公表することが求められます。
プロジェクトの内容は、具体的でなければなりません。例えば、「いついつまでに何メガワットの洋上風力発電所を建設して、発電した電気は誰それに売ります。計画では何トンのCO2が削減できます」という具合です。
また、グリーンボンドの発行後は、運用されている額や、プロジェクトの効果をまとめたレポートを出す必要があります。
よって、「グリーンボンド」として発行されている社債や地方債を買った場合、そのお金が環境にいいことに使われる可能性は、かなり高いと言えます。
もっとも、悪い人は抜け道を考えるものなので、油断はなりませんがね。自分でもグリーンボンドのガイドラインを読むなどして、その会社がきちんと情報を公開しているかどうかをチェックすることは必要です。
最後に、グリーンボンドに関するデータを示しておきます。
ある英国のNGOの調査によると、2020年の世界のグリーンボンド発行額は、2901億ドルでした。これは日本円にすると、ざっと32兆円ぐらい。日本国内では、2020年におよそ1兆円のグリーンボンドが発行されています(参考※)。
※参考:
http://greenfinanceportal.env.go.jp/bond/issuance_data/market_status.html
ある英国NGO=Climate Bonds Initiative (CBI)
ドルは米ドルです。1ドル110円で計算しています
環境省グリーンボンドガイドライン2020
http://www.env.go.jp/press/files/jp/113511.pdf