週間朝日の「機動戦士ガンダム」大特集号を買った。5月17日発売の5・27号。表紙に安彦良和さん書き下ろしのシャアとガルマが載ってるやつだ。発売日をすっかり忘れていて、2日後にようやく思い出し。コンビニでは見つからなかったが、昨日、ジュンク堂に行ったらまだあったよ。
この週刊朝日のガンダム特集は、映画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の第3弾「暁の蜂起」の公開を記念するもの。
安彦良和さんによるTHE ORIGINシリーズは、いわゆるファーストガンダムにおける1年戦争以前の世界を、シャア・アズナブルの生い立ちを中心に描くものだが、3は士官学校時代のエピソードだそうだ。
宇宙世紀0074年。
テキサス・コロニーを離れたエドワウ・マスは身分を偽り、シャア・アズナブルとしてジオン自治共和国国防軍士官学校に入学する。同期となったザビ家の御曹司ガルマと親交を深めるシャア。次第に二人は学生たちからも一目置かれる存在になってゆく。
(STORY|機動戦士ガンダム THE ORIGIN 公式サイトより)
朝日とガンダムといえば、2015年2月に、やはり安彦さん書下ろしのシャアが表紙の「AERA(アエラ)」が発行されたことがあった。
あれはTHE ORIGIN第1弾の「青い瞳のキャスバル」の公開を記念したものだったが、表紙の「見せてもらおうか、君の英語力とやらを」というキャッチコピーが示す通り、メインの特集は英語。第二特集の「ガンダムは人生の師」は中途半端な感が否めなかった。
しかし、今回の週刊朝日のガンダム特集は本気である。巻頭のカラー8ページを「ファーストガンダム名台詞クイズ10」(これで答えられねば貴様は無能だ、とのこと)、THE ORIGINシリーズのおさらい等に充当。
さらに、白黒ページ8頁が安彦良和さんとミッチーこと及川光博さん(以下「ミッチー」と呼ばせていただく)の対談や、雑誌「ガンダムエース」とのコラボ「マニアも唸るトリビア16選」、ガンダムUCの作者である福井晴敏さんのインタビューに割かれており、かなり読みごたえがある。
なお、ミッチー氏は、対談時、軍服姿のガルマに扮している。安彦さんとツーショットのカラーグラビアでは、「笑うなよ、兵が見ている」を再現したポーズを取っているが、この完成度がかなり高い。
対談によると、リアルタイムでファーストガンダムを見ていたミッチーは、子供の頃からガルマが好きだったとのこと。その理由は、「華やかさとロマンチシズム」だそう。“王子”ミッチーのルーツは、ガンダムにあったのか。
そして、長年のファンだけあり、安彦さんへの質問が的確なのもありがたい。ORIGIN制作にまつわるエピソードや、安彦さんの登場人物への思い(好き嫌いまで含めて)をうまく引き出してくれている。
唐突に「なんでフラウ・ボゥだけ生脚なんですか?」なんて質問もあり。ちなみにミッチーは以前、富野監督にも同じことを訊ねたことがあり(余程ツボなのか)、一応の答えを得たらしいが、それと安彦氏の記憶は異なるようだ。
そして、前述のAERAのコンセプトを全否定する安彦氏。
人生をガンダムで学んだ人がいると聞きますけど、ちょっとどうかなという気がするんです。危ない、危ない(笑)
安彦さんの「危ない」が何を意味するのかは明らかではなく、また、「学んだ」と言ってる人たちがガンダムから何を吸収したのかは定かではない。しかしまあ、凡人が天才肌のアムロやシャア、支配者であるザビ家の人々の行動様式を真似ることだとしたら、それは危険だろうなあという気はする。
ブライトや多くのホワイトベースのクルー、ジオンのメカニックのようにやるべき職務をきっちり果たす姿勢や、ランバ・ラルにおけるチームの運営力には、学ぶところは多いと思うけど。
で、思ったのだが、ガンダムから学んだ人って、AERAみたいな一般紙で「ガンダムは人生の師」なる特集が組まれるほど多数いるのだろうか。
もしそうだとしたら、いまの40・50代には、覚悟ができてる人、教養のある人、いい顔した人がもっといていい気がする。自戒も込めて言ってるんだけど。