去る9月27日、大阪南港のおおさかATCグリーンエコプラザで開催された「利益を生み出す環境ビジネス講座」第4回「地球温暖化(ビジネス編)」に行ってきました。このページでは、講座の概要と特に印象深かったことをご紹介します。
利益を生み出す環境ビジネス講座とは?
「利益を生み出す環境ビジネス講座」講座は、同エコプラザ環境アドバイザーの立山裕二氏が講師をつとめる講座。前期5回、後期4回の全9回からなります。9月25日は、前期の第4回目でした。
私は、第1回、2回と参加したのですが、前回、8月末開催の第3回は欠席。
第3回のテーマは、「地球温暖化(目からウロコ編)」ということで、地球温暖化のメカニズムについてeco検定で学んだのとはまた違う視点が得られるかと楽しみにしていました。しかし、会社から出席することになった環境省のSBTセミナーと日程が重なってしまったので断念。
ただ、第3回と第4回「地球温暖化(ビジネス編)」が1セットというわけではなく、独立した講座になっていたのは幸いでした。第4回で、地球温暖化や低炭素社会について一から解説があったわけではありませんが、eco検定合格程度の知識があればついていけるレベル。
具体的には、パリ協定の概要(長期目標、緩和策と適応策など)や、交通由来のCO2削減政策(モーダルシフト、エコドライブ、カーシェアリング)、建物・設備の低炭素化(エコハウス、BEMS、ZEH、ヒートポンプ)などのキーワードが頭に入っていることが前提だったと思います。eco検定は、地球温暖化とビジネスに関する話を理解するスタート地点だと、改めて実感。
なお、受講者は全部で20名ほどで、第1回、2回よりスーツ姿の人が多い印象でした。前回まではなかった「ビジネス編」というタイトルが効いたのかもしれません。
さて、そんな「利益を生み出す環境ビジネス講座」第4回「地球温暖化(ビジネス編)」の内容ですが、私が最も興味をひかれたのは、二酸化炭素の活用の話でした。一部引用しつつ、紹介させていただきます。
CO2回収・貯留(CCS)は地下だけではない
CCSは「Carbon dioxide Capture and Storage」の略で、eco検定では「CO2回収・貯留」として学習します。発電所や工場から出る二酸化炭素を回収し、地中に閉じ込める技術のことです。
しかしCO2の地下貯留には、地下水や鉱物を変質させるという問題がありうるそうで。講義の後で調べたところでは、地震を誘発すると言っている人もいます。
そこで、注目されているのが、回収した二酸化炭素を地上に貯留する手法。例えば、プラスチック内に微細な気泡として閉じ込めたり、ブタジエンと重合させて全く新しいプラスチックを作ったりする技術が開発されているそうです。
考えてみれば、地球温暖化の防止という観点からは、二酸化炭素は大気中に放出されなければいいわけで、閉じ込めるのは地下でも地上でもいいんですよね。
用途として想定されているのは、家屋、船舶、自動車、電車、彫像、芸術作品などだそうで、これらに閉じ込めてしまえば、かなりの期間、貯留しておくことができそうです。
廃棄の際にどうなるのか?という疑問は、こうして記事をかいているうちわいてきました。第5回の授業で立山先生に聞いてみたいと思います。
超臨界二酸化炭素とは?
そして、地上貯留のCCSにつながるのが、「超臨界二酸化炭素」を使った技術。
超臨界二酸化炭素とは、
液体と気体の両方の性質を持つ二酸化炭素で、液体の密度と気体の自由度を持ち合わせ、表面張力がなく浸透性に富んでいる
(「利益を生み出す環境ビジネス講座」第4回「地球温暖化(ビジネス編)」講座資料より引用)
という物質のことで、樹脂成型や染色での利用が可能です。
超臨界二酸化炭素を使った樹脂成型の特徴は、二酸化炭素により流動性が大幅に向上すること。また、表面張力がないので、金型の細かな形状も樹脂に転写することができます。
参考資料:
超臨界二酸化炭素供給装置 SCF・SCFL|その他装置|株式会社タクミナ
染色の例は、ミズノ。超臨界二酸化炭素を使うと、水を使わずに染色が可能となり、Tシャツ1枚あたり25リットルの水を節約することができるそうです。
Q. 染色=水 というイメージが強いのですが、本当に全く水を使わずに染色できるのですか?
A. はい!これを説明するととても難しいのですが…一文で説明すると
二酸化炭素を、液体と気体の両方の性質を併せ持つ『超臨界二酸化炭素』にして生地に粉末染料を入り込ませ定着させている感じです。
二酸化炭素は、とかく排出量を減らしてなんぼだと思っていましたが、出てしまったものを回収して活用するという考え方もあるということを知ったのは、「利益を生み出す環境ビジネス講座」第4回「地球温暖化(ビジネス編)」の大きな収穫でした。
自社でも応用できるところはないか、考えてみたいと思います。