3月27日、または28日は「わび茶」を完成させた千利休の遺徳をしのぶ「利休忌」です。利休さんのじっさいの命日は、旧暦の天正19年2月28日(新暦の1591年4月21日)なんだそうですが、利休さんの流れをくむお茶の家元では、一月前倒しで行事を行う模様。
利休さんといえば、カラーコーディネーター3級テキストに登場する慣用色名「利休鼠(りきゅうねず)」を思い出します。江戸時代後期の流行色「四十八茶百鼠」と呼ばれる流行色の一つで、系統色名でいうと、「緑みの灰色(g-mdGy)」。検定試験頻出です。
ちなみに、利休さんとは何の関係もなくて、江戸の人たちが緑っぽい色から抹茶を想像したのか、何となく「利休っぽい」ってことで色名をつけたという説が有力なんですが……。
利休鼠 |
ところで、「四十八茶百鼠」といっても、茶色や鼠色がそれぞれ48種類、100種類あったとわけではなくて、「茶色や鼠色のバリエーションがたくさんある」ぐらいの意味だそう。
江戸時代には、庶民のぜいたくを禁止する「奢侈禁止令」というおふれが出され、服の色が茶色、鼠色、藍色に制限されてしまったので、制限の中で差別化を図ろうと色々なバリエーションが編み出されたという話です。
例えば、鼠色の一部を紹介すると、こんな具合(★がついているのは、JIS系統色収録)。
丼鼠 (どぶねずみ) |
★銀鼠 (ぎんねず) |
梅鼠 (うめねず) |
葡萄鼠 (ぶどうねずみ) |
桜鼠 (さくらねず) |
青磁鼠 (せいじねず) |
藍鼠 (あいねず) |
深川鼠 (ふかがわねずみ) |
錆鼠 (さびねず) |
桔梗鼠 (ききょうねず) |
★茶鼠 (ちゃねずみ) |
江戸鼠 (えどねず) |
しかし、こう見ると、けっこう色みが強いものもありますが、お役人的にはアリだったのでしょうか? 新色が登場するたびに、これは鼠色の範囲だからセーフ、これは逸脱してるから取締り対象、なんていう議論が展開されたのかもと想像すると、ちょっと楽しいですね。