『機動戦士ガンダム』の名シーンでおなじみ「マ・クベの壺」がバンダイとノリタケのコラボで限定発売され、41,040円(税込)もするにもかかわらず、あっという間に完売した、というニュースを見て、
「あれはいいものだ」
とつぶやいたお父さんお兄さんが日本中に何人いるんだろうか、なんてことを考えながら週明けを迎えた小秋さんです。
「マ・クベの壺」は、劇中のマ・クベ大佐の見立てによると、「北宋だな」という白磁の壺を、日本が誇る磁器メーカーのノリタケが、”ボーンチャイナ”で再現したもの。
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バンダイ×ノリタケ コラボ商品「マ・クベの壺」と「ザビ家のティーカップ」 ―バンダイ公式ショッピングサイトで予約受付開始―|お知らせ|株式会社ノリタケカンパニーリミテド
http://www.noritake.co.jp/news/2014/08/gundam.html
うーん、それにしても、「北宋」「白磁」「ボーンチャイナ」。あらためてこうして書いてみると、自分がいかに何も知らないかということを思い知らされます(汗)。いい機会なので、これらの概念を整理してみましょう。
まず、白磁とは、白色の粘土の素地に、無色の釉薬をかけ、高温(1300~1450℃)で焼き上げた磁器の総称です。起源は560~570年代の北斉(中国)と言われ、その後発展し、北宋時代(960~1127年)には、白磁の名品が多く作られたとか。
マ・クベが手にしていた壺は、その時代のものという設定なんでしょうね。
その後、西洋にもたらされた白磁は、17世紀頃、貴重な芸術品として珍重されました。白磁器の主要な成分であるカオリンがヨーロッパでは長らく入手不可で、自ら製造することができなかったためです。
ザクセン公国(ドイツの一部)の技師が、カオリンを入手してようやく白磁の焼成に成功したのは、1709年のこと。その技術は、のちに国立マイセン磁器製作所となる工場に受け継がれました。
ボーンチャイナが誕生したのは、その約40年後、1748年のイギリスです。イギリスではやっぱりカオリンが入手できない、でも白い磁器作りたい!ということで、原料に牛の骨灰(ボーンアッシュ)を加えて作ってみたところ、成功したのです。
ボーンチャイナの技術は、その後スポード社やウェッジウッド社により製品化され、日本で最初に製造に成功したのはノリタケ。1933年のことでした。
で、2014年、その技術を使って作られたのが、今回のバンダイとノリタケのコラボの「マ・クベの壺」であると。つまり、劇中でマ・クベ大佐が慈しんでいたあの磁器とは、成分や製法が異なるということになります。
ボーンチャイナと白磁を比較して、どちらが高級とか優れているとかいうことはないそうですが、ボーンチャイナの方が透光性が高く、白磁よりクリーミーな(純白でない)色なのだとか。
また、焼成温度もボーンチャイナの方が低いとのことで、もしかして、指ではじいたときの音色も、マ・クベ大佐が体感したのとは、ずいぶん違うんでは?
「いい音色」は、ガンダムファンにとって譲れないポイントだと思うので、その点気になるところであります。買った方には、ぜひレポートをお願いしたいところですね。