うっかりしていました。岸田首相が、漢検協会の「今年の漢字®」の発表日に「私の今年の漢字」をツイートして炎上していたんですね。
岸田首相が選んだ漢字は「進」です。さまざまな課題の解決や「新しい資本主義」の具体化などを進めており、来年も進めていくという意味が込められているようです。
今年の漢字が発表されましたが、私の今年の漢字は「進」です。
歴史を画するような様々な課題に対して、悪質な献金被害の救済新法や防衛力の抜本強化、新しい資本主義の具体化などを、一つ一つ進めており、また、来年も進めていきます。— 岸田文雄 (@kishida230) December 12, 2022
ちなみに「進」は、1995年が初回となる「今年の漢字」史上いちどもトップ20にランクインしたことがありません。わりとありきたりなチョイスだなあと思ったので意外でした。「進」の漢字を思いつく人が少ない、停滞した27年だったということでしょうか。
で、そんな岸田さんのツイートに対し、インターネットユーザーの皆さんからは主に「検討してばかりで何も進んでいないのにどういう了見でしょうかこの人は」的な声が上がっております。
また「今年のあなたの漢字はこれでしょ!」と別の漢字を薦めるツイッターも見受けられますね。ざっと見たところ「退」を推す人多し。「進」の反対の意味を持つ漢字です。「退陣してほしい」「いろいろ後退してる」と言いたい人が多いようで。「税」「壺」「貧」「苦」「辞」などの候補もあがっています。
しかし私は、岸田さんの「私の今年の漢字」は「進」で妥当なのではないかと思います。
なぜって、安倍元首相の国葬も閣議決定でぐいぐい推進しましたし。
政府、安倍晋三元首相の国葬を閣議決定 9月27日に日本武道館でhttps://t.co/AIBAG5MQGd
戦後、首相経験者の国葬は1967年の吉田茂元首相以来2例目です。
— 毎日新聞 (@mainichi) July 22, 2022
「反撃能力」の保有を明記した「安全保障関連3文書」も、さくっと閣議決定まで進みまして。
【速報 JUST IN 】安全保障関連3文書 政府が閣議決定 「反撃能力」の保有を明記 #nhk_news https://t.co/wHvML5B4NS
— NHKニュース (@nhk_news) December 16, 2022
防衛費増額のための財源確保も着々と進行中です。
防衛費増額の財源を賄う増税策をめぐり、自民党税制調査会は全体会合で、法人税、所得税、たばこ税の3つの税目を組み合わせる案を了承し、今後の対応を宮沢会長に一任することを決めました。
具体的な内容や各議員の反応を詳しくお伝えします。https://t.co/OxOFaiAZBd
— NHKニュース (@nhk_news) December 15, 2022
重要土地等調査法にもとづく「注視区域」「特別注視区域」の指定も進んでいます。この場合の「重要土地等」とは主に国境付近や防衛関連施設の近隣など。指定されると利用や売買が制限されます。
ぐいぐい進んでますなあ
国の安全保障上の「重要な土地」5都道県58カ所を選定 https://t.co/svy7qSQuVC— 小秋さん (@koakisan) December 17, 2022
そうそう、旧統一教会による高額寄付被害への対処を目指す新法も成立しました。適当なところで手打ちにした感が濃厚ですが、とりあえず一歩前進というところでしょう。
https://twitter.com/tv_asahi_news/status/1601947436049903616?s=20&t=6d4xMEp_BkkB4kvjP7Zaeg
とまあこのように国政の一部ではありますが、怒濤のように進んでいる分野がありますので、キッシーの今年の漢字は「進」。いいんじゃないでしょうかね。
しかしまあ、防衛方面のもろもろの進み具合は半年ぐらい前には全く予想していませんでした。
私の雑な政治世界の理解では、岸田さんという人は、財務省に忖度しているので増税はしそうだけど防衛や憲法改正にはあまり関心がない人、というポジションだったんですよね。
そちら方面でぐいぐい行く感のあった、同じ自民党内の対立派閥・安倍派は強いリーダーを失い、後継とされる人たちの壺がらみもあって弱体化していくだろうし、当面は物騒な話はなかろうな、と。
ところがフタを開けてみればあれよあれよという間に長年の国防の方針が変わってしまいました。しかも閣議決定で。この調子だと憲法改正、9条改正や緊急事態条項の創設なんかもサクッと進むのかもしれません。
というところで、岸田首相の「私の今年の漢字」が「進」であることを知って、ぐいぐい進む現政府をしっかり監視する必要があるとあらためて思った次第ですが、あれですね。首相の強みであるという「聞く力」は、国民に対しては全く閉じてしまっているようです。
そして国会閉会中ということで、野党(ほぼ与党になっているところは除く)とも議論がなされていないような。「検討使」の予想外の進撃ぶりを止めたい人はどうすればいいんでしょうか。思わず途方に暮れてしまった2022年の年の瀬なのでした。