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日本語検定1級の漢字レベルとは?過去問分析で分かった意外な出題傾向教えます

日本語検定1級漢字問題の傾向は? 日本語検定
この記事は約4分で読めます。

日本語検定には「敬語」「語彙」「文法」「言葉の意味」「表記」「漢字」という六つの出題領域と、総合問題があります。うち、主に漢字の読み書きの力が問われるのは「語彙」「表記」「漢字」と総合問題です。

さて、日本語検定1級においてはどのレベルの漢字の知識が要求されるのでしょうか。
2021年第1回日本語検定で1級を受験した管理人(合格見込み)が、最近の過去問題から、語検1級の漢字問題の傾向を分析してみたいと思います。漢検とも比較してみました。

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日本語検定1級の漢字書き取り問題

ここで言う「書き取り」というのは、解答欄に文字を手書きして解答するタイプの問題です。検定の正式名称ではなく、私が便宜上名づけました。

日本語検定も1級ともなると、「鬱とか檸檬とか薔薇レベルの漢字を書くことが要求されるのか?」とお思いの方もいるかもしれません。しかし、それは誤解。日本語検定1級の漢字の書き取りでは、書いただけで賢くなったような気がする難解な漢字は出題されません。

例えば、過去問における書き取り問題はこんな感じ。四字熟語の□の中に入る漢字を手書きしろという設問です。

渾□一体
精□恪勤
蛙□蝉噪
生殺与□
(2019年度第1回日本語検定1級 問16より)

答えは上から然、励、鳴、奪。

このタイプの設問は、その四字熟語の意味を問う設問とセットになっており、難しい漢字が書けるかどうかというより、その語句を正確に理解しているかどうかに重点が置かれているようです。

次に、総合問題における書き取りの例はこちら。カタカナ部分を漢字で書けという問題です。

教会権力のゾッカイ支配に手を貸すことになった
(答)「俗界」
(同上 問18より)

あと、検定の回によっては、「敬語」領域において、漢字の書き取りっぽいものが出題されることがあります。

例えば、「お二人」の改まった言い方「ご両所」の「両」や、「老婆心ながら」の「婆」、「珍味佳肴」の「佳」など(2019年度第2回日本語検定1級 問2より)。

いずれも文脈から適切な語句を思い浮かべることができるか、そしてその語句に含まれる常用漢字レベルの漢字が書けるかという問題です。

ちなみに、漢検の漢字検索サイト「漢字ペディア」で調べてみたところ、上記の漢字は、ほぼ漢検3級レベルでした。

同じ「1級」でも、例えば、人攫い、稟議書、猥褻、予餞会、韜晦、謦咳、嚢中などの書き取りが要求される漢検1級とはレベルが違います。

問題例 | 漢検の概要 | 日本漢字能力検定

漢字の読みと表記の問題

一方、漢字が読めるかどうか、表記の判別ができるかどうかを問う問題は、ぐっとレベルが上がります。

耽る/耽溺
嫋やか/嫋々たる
聳える/聳動する
戦く/戦慄
(2019年度第2回日本語検定1級 問15)

ただ、これらの漢字が単独でポンと示され、「さあ読め」と要求されるのではなく、例文に含まれる形で出題されるので、それほど恐れる必要はありません。例えば、「嫋やか」単体だと読めなくても、

記憶の中の母は、線が細く色白で、嫋やかな人だった
(引用同上)

という形で提示されれば、「たおやか」という読みが閃くことはあるのではないかと思います。

その点、意外と手ごわいのが漢字表記の正誤を○×で解答する形式の問12。例えば、次の各フレーズには、漢字の誤りが一つずつあるのですが、どこかお分かりでしょうか。

相手選手に気推される
ステージで喝彩をあびる
国境を接して待峙する
仮病は一目諒然だ
抜け荷を俊かす
言っても栓無いこと
ぐうの根も出ない
(2019年度第2回日本語検定1級 問12 ※短文になるように一部改変)

正解は、気圧される、喝采、対峙する、一目瞭然、唆す、詮無い、ぐうの音です。

これらは、どれも新聞などで日常的に用いられる言葉であり、自分が文章で用いる場合にもパソコンを使えば間違いようのない語句です。しかし、すでに表記されているものの字面から正誤を判断するのは、なかなか難しいものがあります。

昔、某掲示板の投稿で、嫌いな上司のパソコンに微妙に間違った単語(うんゆ→運輪、こくどこうつうしょう→国土文通省など)を辞書登録して嫌がらせをするというネタがありましたが、あれを彷彿とさせるといいますか。

そういえば「彷彿」は、私が受験した2021年度第1回1級の表記問題で「彷沸」との表記で出題されていました。なんとなく字の形を覚えているだけにとどまらず、部首レベルでの漢字表記の違いを判別できるかどうかが、合否を分ける点かと思われます。

日本語検定1級の漢字問題まとめ

ということで、以上、日本語検定1級の漢字問題の出題傾向について、主に2019年度の過去問をもとに分析してみました。

まとめますと、

  1. 豊富な語彙を要求されるものの、書き取り問題で出題されるのはほぼ常用漢字、漢検3級レベル
  2. 例文が与えられており、ヒントがある。漢字そのものについての高い知識を問われるわけではない
  3. 表記の間違いの正誤判定問題は、字形がよく似た漢字の使い分けを把握している必要がある

となります。

漢字が苦手だから…と日本語検定1級受験を尻込みしているならば、それは勿体ない。漢字の知識そのものがズバリ問われることはないのが日本語検定です。語彙も豊富だし、読解力もあるという皆さんは、ぜひともチャレンジしてみてください。

参考文献

  • 『日本語検定公式過去問題集令和2年度版』(日本語検定委員会編、東京書籍)
  • 2021(令和3)年度 第1回日本語検定1級 検定問題
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