6月24日放映のNHK『ノーナレ』から始まった今治のタオル工場をめぐる炎上騒ぎですが、約1週間が過ぎ、すっかり終息してしまった感があります。
しかもその騒動というのも、番組制作者の意図や、番組に登場した外国人技能実習生のティエンさんの願いとはズレたものであったような。
ティエンさんは、番組中で、技能実習生の存在を知ってほしい、そして助けてほしいという趣旨のことを訴えていました。
ここで言及された技能実習生とは、件の今治のタオル工場だけではなく、日本で働く外国人技能実習生一般のことだと思うのですが、ネットの関心は今治タオル不買運動、そして建物画像から特定された企業叩きに集中。
そして、25日にNHKが「当番組で取り上げた会社ではありません」と否定してからは、あんな建物映すからだろ!というNHK叩きも発生。
そして26日に、今治タオル工業組合が「NHK「ノーナレ」報道についてのご報告」というプレスリリースを出すと一気に鎮火して今に至ります。誤った特定で、振り上げた拳を下ろすタイミングを計りかねていた人々が一気に手を引いていったというところでしょうか。
この一連の炎上騒ぎを受けて私が感じていることは、技能実習制度の問題は置き去りかい!ということです。
思うに、今回のノーナレが光を当てたかったことは、外国人技能実習生一般が
- 技能が身に付かない単純作業をさせられる
- 過労死ラインの長時間労働に従事させられている
- 劣悪な労働環境、居住環境に置かれている
- 自殺、病死に追い込まれることもある
などなどの苦境にあること、そして法務省によると、2010~2017年までの8年間で174人の外国人技能実習生が死亡しているという、制度そのものの闇ではないでしょうか。
今回の今治のタオル工場の件は、その制度に対する問題意識が広がる機会だったと思うのですが、特定のブランド、企業叩きに終始してしまって実にもったいない。悔しいので、こうしてこの記事を書くことにした次第です。
さて、イラストは、食品工場で働く外国人労働者として描いたものです。いちおう、ホワイトな職場を想定したイラストですが、技能実習生問題を語る記事などにもご活用いただければ幸いです。