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【修正あり】電気料金値上がりのニュースから2月の燃料費調整額(低圧・家庭向け)を予想してみよう

平均燃料価格の計算 ESG
この記事は約7分で読めます。

2022年2月、電気代はさらに値上げの見込みです。大手電力と大手都市ガスが、2022年2月の家庭向け電気・ガス料金を1月と比べ値上げする見通しであると、産経ニュースが報じました。

この「値上げ」というのは、燃料費調整額の値上がりによるものですが、さて、皆さんのご家庭やお店、事務所ではどのぐらいの値上がりになるのでしょう?

ニュースに書かれた「標準的な家庭の電気料金」の値上げ幅から、予想される2月の燃料費調整単価を計算してみました。これに想定される使用量(kWh)を掛けると、2022年2月の燃料費調整額の見込みを計算することができます。今後の電気料金の予測にお役に立てれば幸いです。

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2月の燃料費調整単価を予想してみよう

同じ記事の値上げ幅について書かれた部分を引用します。

標準的な家庭の電気料金で最も値上げ幅が大きいのは、中部電力の351円。東京電力330円、東北電力262円、沖縄電力247円、中国電力242円と続いた。関西電力は215円、四国電力は167円、九州電力は140円、北海道電力は131円、北陸電力は78円の見通し。
電気・ガス2月全社値上げ 6カ月連続 – 産経ニュース

この値上げ幅というのは、すでに公表されている2022年1月の燃料費調整単価と、予想される2月の燃料費調整単価の差額に「標準的な家庭」の電力使用量を掛けたものです。

関連記事:2021年の「電気料金の値上げ」の正体は?燃料費調整額のわかりやすい説明

この手のニュースでは「標準的な家庭」の電力使用量は260kWhとされています(※修正あり)。それぞれの電力会社の値上げ幅の数字を標準的な電力量で割って、値上げ分の単価を出し、それを1月分の燃料費調整単価に足し、予想される2月の燃料費調整単価を計算してみました。

【2021.12.29追記1】12月24日、各電力会社から2月分の燃料費調整額が公表されました。表の5列目に公表値を追記してあります。

  • 標準的な使用量は北海道電力は230kWh、九州電力は250kWhでした。申し訳ありません。北海道電力、九州電力以外は260kWhです
  • 四国電力の値上げ幅が、報道の後167円→172円に修正されています
  • その他0.01円のずれは、予測時に小数点第3位以下を切り捨てで計算してしまったことによるものです
  • 北陸電力については低圧のうち、特定小売供給約款の適用を受ける従量制メニュー(従量電灯A、従量電灯B、従量電灯C、低圧電力等)は予測1.77円/kWhが適用されます。それ以外の低圧メニューは1.96円kWhとなるようです。詳しくは後述します。
1月公表
燃調費単価
(円/kWh)
2月値上幅見込
(円)
見込値上単価
(円/kWh)
2月燃調費
単価予測
(円/kWh)
2月公表
燃調費単価
(円/kWh)
予測との差
(円/kWh)
北海道電力 0.06 131 0.5 0.56 0.63 0.07
東北電力 0.82 262 1 1.82 1.83 0.01
東京電力 -0.53 330 1.26 0.73 0.74 0.01
中部電力 -1.79 351 1.35 -0.44 -0.44 0
北陸電力 1.47 78 0.3 1.77 1.77 0
関西電力 1.2 215 0.82 2.02 2.03 0.01
中国電力 1.59 242 0.93 2.52 2.52 0
四国電力 1.16 167 0.64 1.8 1.82 0.02
九州電力 0.33 140 0.53 0.86 0.89 0.03
沖縄電力 1.96 247 0.95 2.91 2.91 0

もっとも値上げ幅が大きい中部電力で1.35円/kWh上がって-1.79円から-0.44円に。中部電力は、10電力会社の中で唯一のマイナス調整だったのですが、来月にはプラスに転じそうな勢いです。その他の電力会社も0.5円/kWhから1.26円/kWhの値上げ。

唯一、北陸電力の値上げが0.3円/kWhにとどまっているのは、燃料費調整額のルールで上乗せできる上限に達したからです。以下、そのしくみを見てみることにしましょう。

北陸電力がこれ以上燃料費調整単価を上げられない理由は?

燃料費調整単価は、輸入燃料価格にそれぞれの電力会社の事情を加味して決められます。

平均燃料価格の計算

手前味噌となりますが、詳しくは燃料費調整額の今後はどうなる?計算方法をわかりやすく解説で説明しておりますので、ご参考ください。

計算式はこうです。

燃料費調整単価=(平均燃料価格-基準燃料価格)×基準単価÷1000

「基準燃料価格」は、ざっくり言うと電気料金に含まれている燃料の価格。各電力会社が、「うちは基本的にこのぐらいの燃料費がかかりますんで」というところをあらかじめ設定しているものです。一度決まると、そうそう変わりません。

一方で、「平均燃料価格」は輸入燃料の価格がもとになっていますので、毎月変動します。この、変動する平均燃料価格と基準燃料価格との差分を電気料金に上乗せするのが燃料費調整制度です。

ただ、燃料費調整額には上限があります。国のルールがあって、平均燃料価格は基準燃料価格の1.5倍までしか上げられないことになっています(※例外あり)。産経ニュースの言う「LNGや原油の価格変動を毎月の料金に反映させる燃料費調整制度で、上乗せできる上限に達した」はこのことです。

各電力会社の基準燃料価格(2021年12月現在)と、その1.5倍の価格(=平均燃料価格の上限)、そして平均燃料価格が上限に達したときの燃料費調整単価を表にまとめてみました。

基準燃料価格
(円/kl)
適用される平均燃料
価格の上限(円/kl)
燃料費調整単価
上限(円/kWh)
北海道電力 37,200 55,800 3.66
東北電力 31,400 47,100 3.47
東京電力 44,200 66,300 5.13
中部電力 45,900 68,900 5.36
北陸電力 21,900 32,900 1.77
関西電力 27,100 40,700 2.24
中国電力 26,000 39,000 3.19
四国電力 26,000 39,000 2.55
九州電力 27,400 41,100 1.86
沖縄電力 25,100 37,700 3.98

北陸電力は基準燃料価格が他の電力会社より低く設定されているので、よそよりも早く昨今の燃料価格の値上がりの影響をくらってしまいました。結果、2月分の燃料費調整単価も上限の1.77円/kWhとなり、1月分の1.47円/kWhから0.3円しか上げることができない見込みとなっています

【2021.12.29追記2】
北陸電力で、平均燃料価格の上限が適用されるのは特定小売供給約款の適用を受ける従量制メニュー(従量電灯A、従量電灯B、従量電灯C、低圧電力等)です。それ以外の低圧メニューは原則通り34,100円の平均燃料価格(2021年9月~11月)が適用され、
(34,100-21,900)×0.161÷1000=1.96円/kWh
になるようです(1.61は基準単価)。

今後も輸入燃料の価格の上昇が続くようなら、北陸電力は基準燃料価格を引き上げたり、基本料金や使用量料金を値上げしたりすることもありえます。

また、他の電力会社も同じような状況になってくることも予想されます。例えば関西電力は燃料費調整単価の上限が2.24円/kWhのところ、2月分の予想では2.02円/kWhまできていますので、何らかの価格変更を考えているかもしれません。しばらく電気料金の動きから目が離せないということになりそうです。

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