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2021年の「電気料金の値上げ」の正体は?燃料費調整額のわかりやすい説明

燃料費調整額のわかりやすい説明 ESG
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最近「また電気料金が値上がり」というような記事を目にすることが増えた気がします。例えばこのような記事。産経新聞の10月28日の記事ですが「12月の電気・ガス料金、全社が値上げ 4カ月連続、燃料高を反映」とあります。

電力大手10社が28日発表した12月の家庭向け電気料金は、11月と比べて全社が値上がりとなった。火力発電の燃料となる液化天然ガス(LNG)などの燃料価格の上昇を反映した。足元の燃料価格の動きが電気料金に反映されるのは数カ月先のため、電気料金の上昇傾向は当面続きそうで、暖房需要が膨らむ冬場に向けて家計には逆風となる。
12月の電気・ガス料金、全社が値上げ 4カ月連続、燃料高を反映|産経ニュース

しかしお使いの電力会社のホームページをのぞいてみても、「電気料金の値上がり」などというお知らせは出ていないと思います。これは一体どういうことでしょう?

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「燃料費調整額」が上がれば電気料金も上がる

答えは「燃料費調整額」というものです。これはざっくり言いますと、その名の通り、電気料金に含まれる燃料の費用を調整するためのもの。電気を起こすための原油、石炭、LNG(液化天然ガス)の貿易統計価格をもとに決められ、皆さんの電気料金に反映されます。

「いや、そんなの知らないし」と思った皆さんはお手元の電気料金明細を見てみてください。「燃料費調整額」という項目があるかと思います。画像は関西電力の「従量電灯A」という主に家庭向けの料金プランの明細ですが、オフィスや工場で使われる「低圧電力」「高圧電力」の電気料金にも燃料費調整額は含まれています。

燃料費調整額

ニュースなどで「電気料金の値上げ」と言っているのは、ほとんどの場合、この燃料費調整額の値上がりのことです。最近は、原油、石炭、液化天然ガスの値上がりが続いているので、燃料費調整額も上がり続けているのです。

電気料金の請求額と燃料費調整額の関係

電気料金を構成する要素には、主に基本料金、電力使用量にかかる料金、再生可能エネルギー賦課金などがあり、燃料調整費はそこから燃料にかかるコストを足したり引いたりします。引いたり、というのは燃料の価格が安い時には燃料調整費がマイナスになることもあるからです。「最近燃調が安くて、このままだともらいすぎだからちょっと返します」というイメージです。

燃料費調整のイメージ

燃料費調整額は、「燃料費調整単価」×電力使用量(kWh)で計算されます。例えば、関西電力の従量電灯Aですと、

 最初の15kWhの燃料費調整額+(今月の燃料費調整単価×今月の使用量-15kWh)

のような計算になります。

関西電力の燃料費調整額の計算例

燃料費調整単価はどこで見られるか

燃料費調整単価は電気料金明細に書かれていますが、各電力会社のホームページでも公表されます。前月の貿易統計価格の公表を待って計算されるようで、だいたい毎月28~30日頃。時間帯は昼の3時ぐらいです。公表されると、プレスリリースに「●月分燃料費調整額のお知らせ」などのように表示されます。

関西電力の燃料費調整額のお知らせ

各電力会社のプレスリリースのページへのリンクを貼っておきます。いわゆる新電力と契約している場合も、お住まいの地域の電力会社の燃料費調整額が採用されていることが多いと思います。

北海道電力
東北電力
北陸電力
東京電力ホールディングス
中部電力パワーグリッド
関西電力
四国電力
中国電力
九州電力
沖縄電力

毎月月末に2か月先の燃料費調整単価がわかる

毎月月末に公表されるのは、2か月先の燃料費調整単価です。

例えば、10月末に公表されるのは12月の単価。これが、10月末に報じられた「12月の電気・ガス料金、全社が値上げ 4カ月連続、燃料高を反映」というニュースの正体。燃料費調整単価が、2021年の8月以降各社ともずっと値上がりを続けていることを言っているのです。

なお、ニュースでは「標準的な家庭の12月の電気料金は、東京電力が11月と比べて114円高い7485円、中部電力が127円高い7153円、関西電力が89円高い7096円―など(上記産経ニュースより引用)」のような表現がされていますが、「標準的な家庭の」となっていることに注意。

この場合の「標準的な」というのは契約プランや使用量のことです。各電力会社とも、おそらくもっともポピュラーな従量プランと、月200~300kWhの使用量を想定していると思われますが、燃料費調整額がいくらになるか正確に予想したい場合は、ご自身のプランや想定される使用量を確認する必要があります。

また、電気料金の請求額全体が燃料費調整額だけによって変わるのではないことにもご注意を。使用量にかかる料金は、ご契約のプランの単価×使用量ですし、再生可能エネルギー賦課金も使用量が増えるごとに高くなりますのでご注意を(現在は、3.36円/kWh×使用量です)。

以上、このページでは「電気料金の値上げ」と燃料費調整額との関係をざっくりとご説明しました。燃料費調整額の詳しいしくみや再生可能エネルギー賦課金については、別に記事を設けて解説していきたいと思います。

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