ドラえもんの学習シリーズの『ドラえもんの国語おもしろ攻略 読書感想文が書ける』(キャラクター原作・藤子 F不二雄/ 監修・宮川俊彦)を読んだので、今日はその感想を。
本書は、「正しい読書感想文の書き方がわからない」「書くことが見つからない」「本の読み方がわからない」という人に、まんが仕立てで読書感想文の書き方を説明してくれる本です。
登場人物は、もちろんドラえもんとのび太、そしていつもの仲間たち。読書感想文がまったく書けなかったのび太が、出木杉くんや夏目漱石先生など、いろいろな人たちから書き方のコツを伝授され、ついには学校の読書感想文コンクールで優勝するまでに至る過程を描いています。
ドラえもんにのび太が泣きつくところから始まったり、のび太が調子に乗ってドラえもんの道具を悪用しようとしたりするあたりは、原作の世界観そのまま。マンガ部分は、楽しんでいるうちにあっという間に読めてしまいます。
そう、マンガ部分は。
率直に言いますとこの本、マンガの後の具体的なメソッドの部分(達人が伝授する秘訣)がちょっと難しいんですよね。
よく読んでみると「三つの柱」「フニャコフニャオ先生すいせん!組立理論」「な・た・も・だ作戦」「テーマ追及方程式」などなど、いずれもお役立ちのテンプレートやメソッドであることがわかります。しかし、たくさんありすぎて目移りしてしまうんですよ。
なので、そもそも本を読むのが嫌い!と言っているお子さんに、「これを読んでスラスラ読書感想文が書けるようになれ」というのは酷な話かと。先生や親御さんが、指導や添削のために、読んで手元においておく本としては、とてもいいと思います。
そうそう、先生で思い出しました。私が小学一年生の頃に行われた、「絵と文でつづる読書感想文コンクール」とかいうイベントのお話です。
読書感想文を書くという、ノウハウも何も教わっていない行為を要求され、途方に暮れた私は、ほぼあらすじで原稿用紙を埋めて、夏休み明けに、絵といっしょに先生に提出しました。
すると、先生が、大人の字で書かれた作文と、新しい原稿用紙を私のところに持ってきて、その作文をそのまま書き写すようにおっしゃるのです。わたしは、よくわからないままに、新しい原稿紙に作文を書き写しました。
その後、忘れた頃にそのコンクールの発表があり、私はまさかの入賞!ところが、入賞作品を掲載した冊子を観てみると、私の絵とともに載っていたのは、書き写した方の作文。
「えっ、これはどういうこと?」
頭が真っ白になりました。自力で書いた読書感想文がスルーされた上に、書き写しただけの感想文が、私の作品ということになっているのです。
自力で書いたものは、ほぼあらすじなので、スルーも仕方がないかと思いましたが、書き写しただけの作文が入賞って。客観的にみると、完全にズルです。
当時、私は自分を責めました。どうして先生に言われるままに書き写してしまったんだろうと。周りの大人やクラスメイトに「すごいね」と言われた時や、朝礼で表彰されるときに、どんな顔をして何を言えばいいのか、非常に困惑したのを憶えています。
そして、次に読書感想文を書く機会があったときにも、かなり困りました。周りは私を読書感想文の達人と思っているのですが、実はあらすじしか書けないわけですから。
あのときの先生に言いたい。クラスからコンクール受賞者を出したいのなら、インチキをするのではなく書き方の指導をしてよ、と。30年以上が経過した今となっても、思い出すたび悲しくなります。