社会が脱炭素化をめざす中、ニュースなどで「カーボンなんとか」という言葉をよく耳にするようになりました。
例えば、カーボンオフセット、カーボンニュートラル、カーボンネガティブなど。eco検定でも頻出の用語ですが、皆さん、とっさに違いが分かりますか?この記事では、クイズを使って、「カーボン」がつく環境用語の意味と違いを整理してみましょう。
問題
自分の努力では削減できなかった温室効果ガスの排出量を、森林保護やCO2削減プロジェクトへの投資などを通じて埋め合わせをしようという考え方があります。そういった考え方を何というでしょう。次の3つの語句から適切なものをひとつ選んでください。答えは、このページの最後にあります。
- カーボンニュートラル
- カーボンオフセット
- カーボンネガティブ
解説
カーボンニュートラルとは
では、選択肢を1から順番に解説していきます。1「カーボンニュートラル」とは、 人が何らかの活動を行った際に、排出される二酸化炭素と吸収される二酸化炭素が同じ量であることです。直訳すると、炭素中立。eco検定の公式テキストでは「CO2の増減に影響を与えない性質」と説明されています。
このカーボンニュートラルという言葉は、バイオマスエネルギーの有効性を語る時に使われます。
バイオマスエネルギーとは、植物などの生物に由来する有機物(化石燃料を除く)のうち、エネルギーとして使用可能なもののこと。代表的なものとしては、サトウキビ、トウモロコシ、海藻、木くず、稲わらなどがありますが、こういった植物は成長過程で光合成をし、二酸化炭素を吸収しますよね。
なので、燃やして二酸化炭素を排出しても、ライフサイクル全体で見ると収支は実質ゼロ、大気中の二酸化炭素は増えないとされているのです。これがカーボンニュートラル。
なんだか狐につままれたような気がする人もいると思いますが、とりあえずカーボンニュートラル=大気中の炭素の収支が実質ゼロ、中立と覚えてしまいましょう。
カーボンオフセットとは
次に、2「カーボンオフセット」です。これはざっくり言うと、
「二酸化炭素の排出量を削減しようとがんばりましたが、これ以上は無理でした。埋め合わせとして、木を植えたり二酸化炭素の排出削減プロジェクトにお金を出したりしますので、これで相殺ってことにしてね」
ということです。よって、これが正解。
キーワードは「埋め合わせ」「相殺」です。これもeco検定頻出の語句なので、確実に押さえておきましょう。
カーボンフットネガティブとは
最後に、3「カーボンネガティブ」は、二酸化炭素の排出量が吸収量を上回っている状態を指す言葉です。「ネガティブ」というので、二酸化炭素が出ない状態なのかと勘違いしがちですが、排出量>吸収量がカーボンネガティブ。
逆に、二酸化炭素の吸収量が排出量を上回る状態(排出量<吸収量)を「カーボンポジティブ」といいます。
とりあえず二酸化炭素の排出量が多くて環境にネガティブな(否定的な、悪い)影響を与えそうなのがカーボンネガティブ、排出するより多く吸収して環境にポジティブな(肯定的な、よい)影響を与えそうなのがカーボンポジティブと覚えておくとよさそうです。
正解
2
ということで、問題の「自分の努力では削減できなかった温室効果ガスの排出量を、森林保護やCO2削減プロジェクトへの投資などを通じて埋め合わせをしようという考え方」をあらわす言葉として適切なのは、選択肢2の「カーボンオフセット」でした。
その他の選択肢についてもまとめますと、
1「カーボンニュートラル」は、大気中のCO2(二酸化炭素)の収支が実質ゼロ、中立
3「カーボンネガティブ」は吸収量より排出量の方が多くて地球に負荷をかけている状態
となります。社会の脱炭素化につれ、CO2削減が課題となっている職場も増えていると思います。会議や上司・同僚との会話でうっかり間違わないように、この機会に「カーボンなんとか」の違いを整理しておいてください。