11月19日(金)、おおさかATCグリーンエコプラザセミナー主催の無料セミナー「カーボンニュートラル達成に向けた省エネ対策の最新動向」に参加したので、その感想です。
セミナーは会場(おおさかATCグリーンエコプラザ内セミナールーム)とオンラインの同時開催。私はオンライン(ZOOM)で視聴しました。定員は、会場30名・オンライン80名とのことでしたが、聴衆の様子はカメラに映らなかったため、どのぐらいの人が会場にいたかは不明です。
セミナーの内容は、まず「おおさかスマートエネルギープラン」など大阪府・大阪市の脱炭素への取り組みの説明があり、そのあと関西電力、ダイキンエアテクノ、アズビルの3社が自社の省エネに貢献するサービスを紹介するというもの。プログラムの詳細は次の通りです。
■開催日時:
2021年11月19日(金)13:30〜15:45■プログラム:
13:30~14:10
【基調講演】おおさかスマートエネルギープランについて~脱炭素化時代の新たなエネルギー社会の実現に向けて~
講師:大阪府 環境農林水産部 エネルギー政策課
14:10~14:35
【講演1】AI自動チューニング機能を搭載した空調制御サービス「おまかSave-Air」
講師:関西電力株式会社ソリューション本部 営業部門 法人ソリューショングループ 課長 田口 雄一郎 氏
14:45~15:10
【講演2】省エネで快適な空調環境を提供するPaaS型の空調総合サービス
講師:ダイキンエアテクノ株式会社 エンジニアリング本部 PaaS企画部 エアアズアサービス推進Gr 課長 石川 大地 氏
15:10~15:35
【講演3】BEMSデータ活用を特徴としたエネルギーマネジメントサービス
講師:アズビル株式会社 ビルシステムカンパニーファシリティマネジメント本部 エネルギーマネジメント部長 関根 勉 氏15:35~15:45【質疑応答・名刺交換会】※名刺交換会は会場参加者のみ
出典:11月19日(金)開催:カーボンニュートラル達成に向けた省エネ対策の最新動向【会場・オンライン】|おおさかATCグリーンエコプラザ
大阪府による基調講演は、2021年3月に大阪府・大阪市が共同で策定したおおさかスマートエネルギープランや、それに連動する自治体の取り組みを紹介するものでした。
「おおさかスマートエネルギープラン」とは、脱炭素化時代の「新たなエネルギー社会」の構築を先導していくための、2030年度までの大阪府・大阪市の取組みの方向性を示すものです。府のホームページで公開されている資料はこちら。
おおさかスマートエネルギープラン[PDFファイル/1.15MB]
セミナーの内容は、主に上記プランの資料のダイジェスト。特に分かりやすくする工夫がされていたわけではありませんでしたが、とかく情報量に圧倒され、ついつい避けてしまいがちなお役所の資料に目を通すきっかけになったのはよかったです。
「省エネコストカットまるごとサポート事業」の紹介もありました。国の補助金(経済産業省の「地域プラットフォーム構築事業」)を活用した支援制度で、プロによる省エネ診断から設備更新までを「切れ目なくサポート」するというものです。これまでの省エネ事業は診断と設備更新の支援が別だったようで、診断の結果を使いこなせない企業も多かったのだとか。
さて、大阪府の基調講演のあとには、関西電力、ダイキンエアテクノ、アズビル各社の講演が続きました。
サービスの内容、講演の難易度はそれぞれ異なるものでしたが、共通していたのは空調機器のコントロールによる消費電力の抑制という点でした。空調は事業所のエネルギー使用の多くを占めており、空調を制する者は省エネを制するといっても過言ではないようです。
どの会社のサービスも、ざっくり言うとユーザーの空調室外機に制御用のコンピューターを接続し、自動で制御することにより、室内の快適性を保ちながら省エネを実現するという点では同じなのですが、最もユーザーにやさしいと感じたのは関西電力の説明でした。
空調による電力消費は抑えたいけれど、どういったデータを監視しながらどう抑制するという仕組みまでは知らなくていいという企業には、「おまかSave-Air」が魅力的に映ったと思います。
この点、ダイキンエアテクノの「エアアズアサービス(Air as a Service)」、アズビルのエネルギーマネジメントサービスの講演は、詳細なグラフなども盛り込んだかなり専門的なものでした。私は「商売っ気がないなあ」という印象を持ちましたが、顧客となる企業の設備・エネルギーの担当者、決済担当者の性格や知識量によっては、そういったデータに基づいた説明の方が説得的に映るのかもしれません。
空調制御という話題で個人的に思い出すのは、自分がオフィスその他で経験した空調の温度設定をめぐるバトルです。
かつて、隣デスクの同僚が憤然として立ち上がったと思ったら、しばらく後に「寒いと思ったらまた誰かが19℃まで下げてたから26℃ま上げてやったわ!」と勝ち誇った顔で帰ってきたなんてことが日常的にありましたが、AIが空調を制御する建物では、そのような光景は平成の遺物ということになっていくのでしょう。
ただ快適性というのは個人差があり、どれほど緻密に室内環境を制御しても暑い寒いという不満を抱える人がいなくなることはないでしょうから、そこのところをどう調整するのか。もしくは「調整なんかしない、デマンドコントロールのためなら従業員の快適性は犠牲にする」などという企業が増えるのかも知れず、今後の動向が楽しみであります。
最後に3社のサービスへのリンクを貼っておきます。
文中では関西電力の「おまかSave-Air」ということで紹介しましたが、株式会社関電エネルギーソリューションの製品です。初期費用無料、月額31,900円から(2021年11月20日現在)。
空調制御サービス「おまかSave-Air」|株式会社関電エネルギーソリューション
「AaaS(エアアズアサービス)」は会社名でもあります。三井物産株式会社とダイキンエアテクノ株式会社が出資する合弁会社です。
サービス概要|AaaS
アズビルさんは、特定の製品ではなくビルエネルギーマネジメントサービス全体の説明でしたので、サービス一覧のページを貼っておきます。請求しなくても、各種資料がダウンロードできます。
製品・サービス | アズビル株式会社
なお、大阪府は「再エネ電力調達マッチング事業」というのも展開しているので、今後、おおさかATCグリーンエコプラザでは今回のセミナーの再エネ調達バージョンみたいなセミナーの開催もありそうです。もしあるなら、参加してみたいと思います。