最近、電気やエネルギーの分野でアンモニアがどうこういう話を聞くことがあると思います。その理由を3行でまとめるとこんな感じです。
アンモニアそれ自体が燃料になったりもする
燃やしても二酸化炭素が出ないので脱炭素にお役立ちというメリット
このページでは、エネルギーとしてのアンモニアとは何か?について解説します。
アンモニアは、肥料として、また合成繊維のナイロンやメラミン樹脂の原料として、おなじみの物質です。
アンモニアは水素を運ぶ媒体として、また、燃料それ自体としても使えるのです。
水素は、燃やしても二酸化炭素が出ません。そこで、世界が脱炭素に向かう中、次世代エネルギーとして注目されているのです。
しかし、水素は取り扱いが難しく、大量に輸送したり貯めておいたりするためのインフラや制度が整っていなかったりします。
アンモニアの化学式はNH3です。ざっくり言うと、水素に空気中の窒素を加えてやるとアンモニアになるという仕組みです。化学式はこんなですが、とりあえずアンモニアには水素(H)が含まれているということだけ押さえておきましょう。
3H₂ + N₂ = 2NH₃
アンモニアも水素と同じく、燃料になります。燃やしても二酸化炭素が出ないので、脱炭素に役立つエネルギーとして注目されています。
現在、最も進んでいるのは、石炭発電の際にアンモニアを混ぜる「混焼」という仕組みです。
ただ、デメリットもあります。国内のすべての石炭火力発電所で20%混焼をしようと思うと、現在、世界で流通しているアンモニアとほぼ同じ量が必要となるんですね。その量は2000万トンとも3000万トンとも言われています。
そうなんです。さらに、アンモニアの原料となる水素をつくるためには電気が必要なんですよね。
そうです。水素をアンモニアに変換して運べるということは、水素からアンモニアが作れるということです。
水素の製造方法には、ざっくり言うと水を電気分解する方法と、天然ガスなどの化石燃料を変換する方法があります。
そのプロセスで使う電気を再生可能エネルギー由来にするとか、排出されてしまった二酸化炭素を回収して地下に貯めたりするとかすると、その水素はカーボンフリーということになります。
うーん、そうですね。そのへんは、どうするのが低コストか、脱炭素的にメリットが大きいかの兼ね合いというところでしょうか。とりあえず、今後の技術の動向を見守っていくとしましょう。
ということで、このページではエネルギー分野でのアンモニアの利用についてご説明しました。
水素を運ぶ媒体として、またそれ自体が燃料として使えるというアンモニア。
燃やしても二酸化炭素が出ないというメリットがあるので、新しいエネルギー源として注目されていますが、肥料など従来の使いみちと競合するというデメリットがあります。
また原料となる水素の製造方法によっては、けっきょく二酸化炭素が出るんじゃん、という問題があることも押さえておきましょう。