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冬の電力不足に備えよ!「追加供給電力量の公募」とは?

冬 ESG
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「2021年度冬季向け追加供給電力量の公募」の結果が、12月17日に発表されました。この公募は、昨冬のような電力不足に対する備えのひとつです。東京電力パワーグリッドなど9社が共同で、11月に募集をかけていました。

募集は3億kWhでしたが、約4億kWh超を調達するとのこと。落札価格の平均は約36円/kWhです。最近の電力の先物取引における1、2月の価格が26円/kWh台であることを考えると、大幅に高い価格となっています。

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「2021年度冬季向け追加供給電力量の公募」とは?

さて、今回取り上げるニュースはこちらです。電気新聞ウェブサイトの12月20日付の記事。

沖縄電力を除く一般送配電事業者9社は17日、2021年度冬季向け追加供給電力量の公募(キロワット時公募)の落札結果を公表した。3億キロワット時の募集に対し4億1900万キロワット時の超過落札。このうち200万キロワット時がデマンドレスポンス(DR)だった。落札案件の加重平均額は1キロワット時当たり35円88銭、うちDR平均は同30円00銭。最高額は同37円61銭だった。
出典:一般送配電9社、冬季逼迫に備え電力量公募/4億キロワット時超を調達 | 電気新聞ウェブサイト(2021/12/20) ※マーカーは筆者

ざっくり言うと、電力会社(正確に言うと電気の送電や配電をする会社)が「電力不足に備えて追加で電気を売ってくれる人募集!」と声をかけたところ、「うちは何kWh売ってあげるよ!」と応じた人がたくさんいました。皆の言い値(入札価格)は相場より高かったのですが、電力会社はそれを受け入れることにしました、という話です。

別に電気の売り手を優遇しようというわけではなく、「発電のために追加で調達する燃料の価格や人件費を考えると、36円/kWhぐらいが妥当かな」ということのようです。

さて、ここで「ニュースの内容はだいたい分かったけど引っかかるところがある」という人は少なくないのではないかと思います。それはおそらく、「このうち200万キロワット時がデマンドレスポンス(DR)だった」の部分ではないでしょうか。

「デマンドレスポンス(DR)」とは何か?

デマンドレスポンスとは、英語の「Demand Response」をカタカナ書きにしたものです。直訳すると「需要応答」。「DR」は「Demand Response」の頭文字をとったものです。

DRは、需要側(電気を使う側)の電気の使用量をコントロールして、電力システム全体の需要と供給のバランスをとっていこうという考え方です。

例えば、電気を使う人が多い時間帯に電気の価格を高くして、需要側に「しょうがないな、この時間帯は節電するか」思わせるのもDRですし、契約で「節電してくれた分だけ料金を値引きしますよ」とするのもDRです。

電気の売り買いでは、DRが発電と同じにみなされることがあります。

ただ、今回の追加電力の公募では、DRは「供給電力量供出のために、需要家側で電力の使用を抑制すること」に限定されています。

2021 年度冬季追加供給kWh 募集要綱

そりゃそうですよね。だって、もともとのDR契約で浮いた分の電気や、業績不振でたまたま減ることになった使用量が追加電力として高く売れるとしたら、何だかモヤモヤしませんか?

いわばその電気の売り手は平常運転なわけで、追加供給のための努力は何もしていないからです。

もっとも、電気は工業製品などと違って目に見えず、いつどうやって作られたのかが分からないので、線引きが難しいところではあります。このあたりのしくみをどうするかについては、資源エネルギー庁でも議論が重ねられているようです。

2021年度冬季に向けた電力需給対策について2021年10月26日|資源エネルギー庁

今回のまとめ

以上、この記事では2021年12月20日の電気新聞ウェブサイトの記事「一般送配電9社、冬季逼迫に備え電力量公募/4億キロワット時超を調達」を読み解いてみました。三行でざっくりとまとめますと、

  • 東京電力パワーグリッドらが冬場の電気不足のために「追加の電力量を募集!」と声をかけた
  • 3億kWhの募集に対して4億kWhが集まった。そのうち200万kWhはデマンドレスポンス
  • 落札価格は平均約36円/kWhで、先物取引の相場の26円/kWhより結構高い

となります。

なお、今回の公募の背景には、2021年初めの電力供給のピンチがありました。大寒波襲来、火力発電所の不調、天然ガスの価格の高騰のトリプルパンチにより電気の市場価格が150円/kWhぐらいまで上がってしまったという騒動です。

事の顛末は、資源エネルギー庁「2021年初頭、電力供給が大ピンチに。どうやって乗り切った?」に分かりやすく書かれています。この冬は同じことが起こらないよう、また、起こってしまったとしても、私たちの電気料金が爆上がりしてしまうなんてことがないように祈ることにしましょう。

2021年初頭、電力供給が大ピンチに。どうやって乗り切った?(前編)|資源エネルギー庁

2021年初頭、電力供給が大ピンチに。どうやって乗り切った?(後編)|資源エネルギー庁

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