ほぼ日書評チャレンジ中

このページにはプロモーションが含まれています。

物理・化学・生物の目で「色彩」の不思議に触れて、カラー系資格勉強の科学面の苦手意識を克服

Newton 「色と光の科学」特集号 閉架書庫
この記事は約3分で読めます。

科学雑誌『Newton(ニュートン)』の最新号(2015年3月号)の特集が「色と光の科学」だというので迷わず購入しました。Newton、昔、実家で購読してたなあ。高校で数学と物理に挫折して、すっかり理系とは縁遠い人間になってしまいました。手に取るのは30年ぶりです。

Newton 色と光の科学

物理学や化学、生物学の側面から色彩を科学的に探っていくという、この特集。33ページに及んでおり、PART1~4の四部構成となっています。

PART1 芸術・美術を科学する
PART2 色と光の関係
PART3 色を再現する
PART4 発展編

PART1は、フェルメールの「真珠の耳飾の少女」の青いターバンや、柿右衛門の焼きもの赤、ルビーやサファイアの発色の秘密について。ルビーとサファイヤは、土台となる物質は同じで、わずかな不純物の違いが色の差を生むんだそうです。

続くPART2では、色の三原色や太陽光のスペクトル、色を見るための眼のしくみ、モルフォ蝶を例にとった「構造色」の説明など。

モルフォ蝶。このあざやかな青い羽根には、青の色素は存在しないんだそうです。

PART3ではディスプレイの画素や、印刷の網点で色を再現するしくみなど。シアン、マゼンタ、イエローと、「特色」と呼ばれる金、銀のインクによるカラーチャート付きです。

そしてPART4の「発展編」では、色と温度の関係や、網膜の錐体細胞のはたらきによる色の見分けを解説。P型、D型など、色覚の多様性についても触れられています。個人的には、シャコは12種類の錐体を持つことを知ってかなり興奮しています。

さて、カラーコーディネーター検定や色彩検定を勉強中の方の中には、「スペクトル」「構造色」「色温度」「錐体」というキーワードを見て、「うへぇ…」となってしまった人もいるのではないでしょうか。

そう、カラー系の資格試験を勉強していると、思わず叫びたくなる「センスのよい配色をマスターしたかっただけなのに、なぜに理科?」というあの世界が、このNewtonの色の特集には詰め込まれているのです。

で、それらのジャンルを苦手としているに人こそ、この特集はおすすめ。科学雑誌なので難しいのかと思いきや、検定教科書より分かりやすい!と思ったところが多々あります。

特に感動したのは、残像のしくみと、識別しやすい色・しにくい色についての説明。「赤錐体と緑錐体の出力の差」とか「マクアダムの偏差楕円は緑の領域が大きい」とか言われても、いまひとつよく分からなかったのが、すんなりと理解できてしまいました。

カラコ、色彩検定の理科っぽいところが苦手な受験生の皆さんは、ぜひご一読を。「相対性理論100周年」「惑星になれなかった天体たち」など他にも読みどころ満載です。

タイトルとURLをコピーしました