『青磁』(編集:NHK「美の壺」制作班) を読みました。東洋陶磁美術館の「IMARI/伊万里 ヨーロッパの宮殿を飾った日本磁器」を見に行く予定なのですが、せっかくなので特別展だけではなく、常設展も堪能しようと思いまして。
青磁(せいじ)とは、透明感のある青緑色の磁器です。鉄分を含んだ釉薬(「ゆうやく」または「うわぐすり」)をかけ、酸素を遮断した窯の中で焼くと、青く発色するのだとか。
釉薬の中の鉄分の量その他の条件によって、オリーブ色に近いものから空色まで、得られる色はさまざまですが、代表的な青磁として語られるのは、うすい青緑です。
追記:こちらのツイートの右側の写真みたいな色です
【市立東洋陶磁美術館 特別展「高麗青磁―ヒスイのきらめき」を開催中/11月25日まで】
「幻のやきもの」とも言われる高麗青磁は、翡翠(ひすい)のきらめきにも似た美しい釉色をもち、人々を魅力して来ました。30年ぶりに満を持して開催する一大特別展でお楽しみください!https://t.co/9fLQXjWzBG pic.twitter.com/IX7sv8h27h— 【公式】大阪市広報 (@osakacity_koho) September 6, 2018
PCCSでいうと、p14(うすい青緑)ぐらいでしょうか。この点、JIS慣用色名の「青磁色(せいじいろ)」は、もう少し黄みが強く彩度が高い色を指すようです。色彩検定3級テキスト掲載の色見本などは、近似PCCS値がsf12あたりだったりするので、検定受験者の皆さんはご注意を。
さて、青磁の発祥は、今から約2千年前、後漢時代(西暦25年~220年)の中国と言われていますが、最盛期は北宋時代後半から南宋時代。産地としては、浙江省の龍泉窯(りゅうせんよう)などが有名です。
東洋陶磁美術館には、その龍泉窯でつくられた名品が収蔵されています。国宝「飛青磁 花生(とびせいじ はないけ)」重要文化財「青磁 鳳凰耳花生(せいじ ほうおうみみはないけ)」など。常設展で見られるといいなあ。
以前、同美術館の常設展を見たときには、高麗の青磁をたくさん見たような気がします。これを書きながら調べてみたところ、朝鮮南部では、宋の影響で10~12世紀に青磁の製作が盛んだったとか。色が灰色味を帯びていて、象嵌(異素材のはめ込み)技法で模様が付けられているのが特徴のようです。
追記:別の本の表紙ですが、「象嵌」はこんな感じです
日本でも、17世紀以降に青磁が作られるようになりました。産地は有田が中心(いわゆる伊万里焼)で、鍋島藩の藩窯では、色絵や染付を併用した「色絵青磁」「染付青磁」が多かったとか。
染付青磁桜花文皿(伊万里市HPの伊万里・鍋島ギャラリーより)
ということで、「マクベの壺」の発売をきっかけに、すっかり焼きものにはまっている今日この頃、今回は青磁についての基礎知識を整理してみました。
追記:ガンダムのあの「北宋だな」「あれはいいものだ」ってやつです
https://p-bandai.jp/item/item-1000101598/
ちなみに、恥ずかしながら私は、白地に青で文様を描き込んだ磁器=青磁だと最近まで思っていたのですが、ああいうのは「青花(せいか)」「染付(そめつけ)」などというそうです。くれぐれもご注意を。
追記:これは青磁ではなく青花
7/11より、大阪市立東洋陶磁美術館で、特集展「東洋の青花磁器」が開催されます(~8/23)。中国景徳鎮窯で完成し、周辺の国々に伝わった各地の青花磁器、約20点をご紹介します。
詳細は、http://t.co/6m9nDIKIny pic.twitter.com/9cTtHJ76gB— 大阪ミュージアムズ (@OsakaMuseums) July 10, 2015