『フランスの配色』(著・城 一夫)を読みました。
フランスの美術、工芸品、風物などから抽出した配色例が、多数掲載されている本です。フランスの文化に詳しくなりたい方、配色理論を実践的に身に付けたい方におすすめだという感想を抱きましたので、今日はそのご紹介を。
本書は、カラーコーディネーター検定1級<ファッション色彩>公式テキスト*編集長の城一夫さんが、2011年に出版した本です(*追記:2014年当時の公式テキスト。現在の東商カラーコーディネーター検定には1~3級の区分はありません)。
メインのコンテンツは、フランスの絵画、ポスター、ファッション、工芸品、建築などから抽出した配色例。
マティスやブラック、ロートレック、ミュシャ、コクトー、レンピッカらの絵や、コルビュジェやレンゾ・ピアノの建築、ロココ時代のセーブル磁器やヴェルサイユ宮殿などから抽出した色が、帯グラフ状に表示されています。
配色例の色の塗り分けは、元の作品の色の面積比と配置を反映したものであるそう。なので、どんな色が使われているかだけでなく、バランスのよい色の比率や並べ方を学ぶこともできるのが魅力。
そして、各配色例の解説には、元となった作品のデータや、ゲーテやシュヴルールの色彩理論、PCCSのトーンの概念、用いられている配色技法の名称が盛り込まれているという充実ぶり。例えば、こんな具合です。
黄色と青の対照色相の配色も明視性が高いためか、19世紀以来、ポスターによく使われている。特にエルヴェ・モルヴァンやレイモン・サヴィニャックなどの作品にはベースカラーを黄色、ドミナントカラーを青にしたポスターが数多くある。
これを読んで「何だか難しそう」と思った方もいるかもしれませんが、ご安心を。本書の巻頭には、色彩理論や配色用語の解説と、作家解説が付いてますので、分からないことがあったら、すぐに戻って調べることができます。
また、配色例の帯に添えられた番号は、巻末の「色彩一覧」の番号と対応しており、使われている色の色名、マンセル値、RGB値、CMYK値が分かるようになっているという親切さ。
美麗な作品の写真もふんだんに盛り込まれていて、ただ眺めているだけでも十分楽しいです。特に、カラーコーディネーターや色彩検定の勉強の息抜きや、合格後のブラッシュアップにおすすめの一冊。
↓ ↓ ↓
フランスの配色