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色彩デザインとしての配色のアイデアに行き詰まったら試したい脳生理学的アプローチとは?

色彩デザイン-配色技術専門マニュアル クリエイティブ
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グラフィックデザイナーで、デジタルハリウッド大学教授の南雲治嘉さんが書いた『色彩デザイン―配色技術専門マニュアル』を読みました。

副題に「配色技術専門マニュアル」とありますが、どちらかというと色彩入門の書という性質が強いような。色とは何かという概論的な話から、色相・明度・彩度といった色の性質、が見えるしくみ、色の心理的効果・視覚的効果など色彩の基礎知識がたっぷり詰まっていて、カラーコーディネーター3級の教科書を、コンパクトに分かりやすくした感じだという印象を受けました。

ただ、カラーコーディネーターのテキストと決定的に違うのは、著者が脳生理学からのアプローチをとっていること。例えば、色によって喚起される感情は、その人が所属している文化や個人の記憶にもよりますが、色が脳に働きかけ、特定のホルモンの分泌を促すことにもよるとしています。

少し前に、同じ著者の『色の新しい捉え方』でそういった話を読んだ際には、色とホルモンの関係の話はちょっと眉唾ものだと思ったものですが、こういう教科書的な体裁で読むと、「あ、じゃあこの前提で配色を試してみようかな」と思えてくるから不思議なもんです。

あと、明度=時間、彩度=エネルギーと考えて色を分類する独特の方法も、最初はちょっと抵抗がありました。でも、明度の高い→低いは、新しい→古いに対応し、彩度の高い→低いは、エネルギーが強い→弱いに対応すると考えると、「ダイナミック」「若々しい」「格調高い」などというトーン別のイメージがより分かりやすくていいかも、と思えてきたり。

最初に習ったことを絶対視して、それと異なる教えをはねつけてばかりだと、損をするなあと思えた一冊でした。

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