何を言っても叩かれるという流れになっている最近の岸田首相ですが、新年早々ネタを提供してくれました。年頭会見における「異次元の少子化対策」の決意表明です。
異次元の少子化対策に挑戦し、若い世代から“ようやく政府が本気になった”と思っていただける構造を実現すべく、大胆に検討を進めてもらいます
岸田総理「ようやく政府が本気になったと思って」 異次元の少子化対策への挑戦を表明 | TBS NEWS DIG (1ページ)
この場合の「異次元」は、おそらく日銀の「異次元の金融緩和」と同じ意味なのでしょう。まあ何か、これまでに前例のない大胆な取り組みをするというやつです。ちなみに、Web辞書「デジタル大辞泉」の「異次元」にはそのような意味が収録されています。
岸田総理がこの会見の後、児童手当や幼児教育・保育サービス、育児休業制度などの強化に言及していることから、「異次元の少子化対策」とは見たことがないレベルの子育て支援てことでよいのだと思います。
ただ、「異次元」を「少子化対策」というキーワードと組み合わせるとあれですね。広大な空間におびただしい数のカプセルがあり、その中で培養される人類みたいなSF映画の一場面とかを想像してしまって、どうも日本の幸せな未来が見えません。
さらにネット上の人々の反応を見ると、「ようやく政府が本気になったと思っていただける構造」「大胆に検討を進めてもらいます」という岸田首相の言葉の選択から、「これまで効果的なことは何もしてこなかったしこれからもする気がないのだな」と不信感をつのらせた人も少なくないような。
政治家にとって言葉のセンスというのはつくづく大事だな、と再認識した炎上案件でした。まあ岸田首相の「検討」はいつものことなので、それほど延焼はしませんでしたが。
しかし、そこへ自民の甘利前幹事長が燃料を投入しました。少子化対策を進めるのだったら財源として消費税増税も検討しないと、というのです。こちらの「検討」は危機感を持って受け止められた模様。
これに関連して自民党の甘利前幹事長は、5日夜出演したBSテレ東の「日経ニュースプラス9」で「岸田総理大臣が少子化対策で異次元の対応をすると言うなら、例えば児童手当なら財源論にまでつなげていかなければならない」と指摘しました。
そのうえで「子育ては全国民に関わり、幅広く支えていく体制を取らなければならず、将来の消費税も含めて少し地に足をつけた議論をしなければならない」と述べ、少子化対策を進めるための財源として、将来的な消費税率の引き上げも検討の対象になるという認識を示しました。
自民 甘利氏“少子化対策の財源 消費税率引き上げも検討対象” | NHK
これに対してツイッター上などでは「逆、逆!」という反応が見られました。そりゃそうですよね、消費税は子育て世帯も負担しなければならないもの。子供手当を強化するために負担を増やすって何かの冗談でしょうか。
甘利氏の発言に対し、れいわ新選組の大石あきこ氏は「異次元すぎる」と突っ込んでいます。ちなみにこの場合の「異次元」は「的外れ」やいわゆる「斜め上」の類語に当たると思われます。
逆や、逆。
消費税ゼロこそが少子化対策や。あまりにもひどい、異次元すぎる。
自民 甘利氏“少子化対策の財源 消費税率引き上げも検討対象” | NHK https://t.co/N2bNvGnqPG
— 大石あきこ(れいわ新選組)Akiko Oishi (@oishiakiko) January 6, 2023
面白いのはいわゆる保守の論客も「彼らから政権を奪取しなければ」と言っていること。
岸田首相が“異次元の少子化対策に挑戦する”と述べた財源について自民党税調幹部の甘利明氏が「将来的には消費税率の引き上げも検討の対象になる」と。均衡財政論で日本を破壊する財務省と岸田政権。支えるのは宏池会&麻生派だ。国民は彼らから政権を奪取しなければ大変な事にhttps://t.co/vEqh2QM3Fe pic.twitter.com/rhfagp7GwG
— 門田隆将 (@KadotaRyusho) January 6, 2023
そしてその陰で、東京都の「18歳以下に月5000円」給付でさり気なく株を上げる小池都知事。
小池都知事がブチ上げた、子どもへの「月5000円」給付案が話題を呼んでいます。岸田官邸は寝耳に水。政府と対立構図をつくり、存在感をアピールするのは小池氏の常套手段。今回の狙いは、春の統一地方選で都民ファーストの会の候補を1人でも多く当選させることのようです。 https://t.co/9vcRESeSS8
— 日刊ゲンダイDIGITAL (@nikkan_gendai) January 6, 2023
なお小池都知事のこの動きは、2023年春の統一地方選向けのアピールだという見方もあるようです。個人的には「どうせまた自民党やろ」的な諦めムード、無関心に一石を投じることになればいいなあと思う次第です。