今日のお題は「事実上の更迭」です。
2022年12月26日、秋葉賢也復興相を「事実上更迭する方針」が発表されました。そして同じ日に「生産性がない」「コスプレおばさん」発言でおなじみの杉田水脈政務官も「事実上の更迭」。
いいんだけど何で今なんだろうなあ
→杉田水脈政務官も交代へ 事実上の更迭 過去の差別的発言に批判 | 毎日新聞 https://t.co/9BI9fopGqS— 小秋さん (@koakisan) December 26, 2022
確かこの言葉は、秋葉復興大臣以前の三人の大臣(山際さんとか?)が辞めるときにも使われていたと思います。8月に第2次岸田改造内閣が発足して以来の旬のキーワードなのです。
ちなみに、「更送」ではなく「更迭」ですよ。読み方は「こうてつ」。「更送」の場合、読み方はどうなるんでしょうか。「さらそう」とかですかね。
さて、「更迭」の辞書的な意味は、大臣などある職務・地位にある人が代わること。すなわち「交代」に近い意味です。
ただ、ニュースなどでこの言葉が使われるときは、「クビ」「首のすげかえ」「辞めさせる」「肩たたき」などの類語みたいな意味を持つようですね。
すなわち、ニュース用語としての「更迭」は、自発的に辞めるのではなく人事権のある誰かから「もう辞めてくれないかな」と言われた状態。
単に交代させるのではなく、何らかの処分としてポジションを奪い、誰かと交代させるニュアンスです。
この意味で「更迭」をとらえた場合、大臣や政務官の立場にあった人が、自分から自発的に「辞めます」と言ったり辞表を出したりして席を明け渡したことを「更迭」とは言えません。
しかし、形の上では「辞任」であっても、状況的に「あれは実質クビだよな」「ぜったい辞表書かされたよね」というような交代劇があります。
ここ一連の岸田内閣の「ドミノ辞任」なんかがそうですが、そんな「実質クビ」という閣僚の交代を、マイルドに、格調高めに説明したいときに重宝される言葉が「事実上の更迭」なのではないかと思います。
こちらは「事実上の更迭」の意味が分かりやすい使い方。「辞表を提出した。表向きは自発的とも報道されるが」というところが、「事実上の」というフレーズの説明になっています。
杉田水脈総務政務官が辞表を提出した。表向きは自発的とも報道されるが、事実上の更迭では、という観測もあり、いずれにせよ遅きに失した感は否めない。
出典:なぜ杉田水脈氏は差別発言を繰り返したのか?~”ホシュ村”への過剰同化の危うさ~(古谷経衡) – 個人 – Yahoo!ニュース(2022/12/28)
なお、この引用記事は元ネトウヨで現「話のわかる右翼」の古谷経衡氏が「ホシュ村」界隈の杉田水脈氏の立ち位置を分析したものです。
寄稿しました→なぜ杉田水脈氏は差別発言を繰り返したのか?~”ホシュ村”への過剰同化の危うさ~(古谷経衡)#Yahooニュースhttps://t.co/0xr1ojevKR
— 古谷経衡(作家,評論家,社団法人令和政治社会問題研究所所長) (@aniotahosyu) December 28, 2022
多くの人がドン引きするようなヘイト発言をかましてきた杉田氏がなぜ自民党内で重用され、一部ネット民に「杉田さんを守れ!」と言わしめるのか。
長らく理解に苦しんでいたのですが、この記事のおかげでかなりすっきりしました。もしかして、杉田さんは本当はあれやこれや言いたくなかったのかもしれませんね。知らんけど。