環境省の「脱炭素アドバイザー ベーシック」の認定資格の試験を受けることにしました。「炭素会計アドバイザー資格3級」で取ります!
いや先日、認定資格の比較記事を書いたときは完全に他人事だったんですけどね。日頃、職場でGHG(温室効果ガス)排出量の算定にたずさわっており、また、資格好きでもあることから、調べているうちに「これは私が取らねば誰が取るのだろう」という気になり、ついつい手を出してしまいました。
この記事では、そも環境省の認定資格って何?というところから、炭素会計アドバイザー資格3級の概要、そして受験を決めた理由三つを書いてみたいと思います。
環境省の「脱炭素アドバイザー ベーシック」の認定資格って?
以前書いたという、脱炭素アドバイザーベーシックの認定資格の比較記事はこちら。
ざっくりご説明しますと、環境省の「脱炭素アドバイザーベーシック」は資格試験の名前ではではなく、脱炭素にかかわる民間の資格試験を認定する制度です。2023年10月から始まりました。
各資格試験の合格者は、認定レベルに応じて「脱炭素シニアアドバイザー」「脱炭素アドバイザー アドバンスト」「脱炭素アドバイザー ベーシック」の肩書を使用してもいいことになっています。
今のところ、認定資格があるのはいちばんやさしい「ベーシック」のみです。到達レベルは、環境省の公式サイトにはこのように書かれています。
- 脱炭素に関する顧客とのコミュニケーションの前線に立ち、顧客の状況に応じて必要な対応を見定める営業職員
- 気候変動対応の必要性の説明、脱炭素経営・温室効果ガス排出量削減に関する企業からの相談内容の把握ができる
現在のところ、「脱炭素アドバイザー ベーシック」の認定資格は5つあります。この中から、私は炭素会計アドバイザー資格3級を選びました。
- サステナビリティ検定「サステナビリティ・オフィサー」 | 一般社団法人金融財政事情研究会
- 銀行業務検定試験CBTサステナブル経営サポート | 株式会社経済法令研究会
- SDGs・ESG金融 | 株式会社銀行研修社
- 炭素会計アドバイザー資格3級 | 一般社団法人炭素会計アドバイザー協会
- GX検定ベーシック | スキルアップAI株式会社
炭素会計アドバイザー資格3級の受験資格は?
炭素会計アドバイザー資格3級に受かる人の到達レベルは、次のようなものと設定されています。
- 脱炭素を巡る国内外の情勢について理解している。
- カーボンアカウンティングのサイクルについて理解している。
- 国際ルールを重視したScope1,2,3算定の考え方を理解している。
試験の形式はCBT方式です。多肢選択式で、問題数は50問。制限時間は90分です。
注意が必要なのは、CBTだからといって年中いつでも受験できるわけではないこと。今のところ四半期に1回、それぞれ1カ月の期間を設けて実施されています。例えば、私が申し込んだときの受験期間は2023年10月29日から11月30日まででした。
受験にあたって学歴や実務は必要ありませんが、試験とセットになっている3級講習があり、事前にそれを受けることが受験資格となっています。費用は、一般区分の場合、受験料が8,800円。受講料は5,800円です(いずれも税込・2023年10月現在。以下同じです)。
ちなみに「一般区分」じゃない区分は「会員区分」。お勤めの企業や組織が、この試験の運営元である「炭素会計アドバイザー協会」の法人会員になっている場合は、割引が適用されるんですね。その場合、受験料が5,800円、受講料が3,000円となります。
講習の受講と試験に申し込みには、CBTSの「受験者専用サイト」で「マイページ」を作る必要があります。マイページ作成の段階では料金は発生しません。
なお、炭素会計アドバイザー協会の公式サイトとCBTSの「受験者専用サイト」は別なのでご注意を。運営=炭素会計アドバイザー協会、試験に関する事務=CBTSです。炭素会計アドバイザー協会のページはこちらです。
講習は、講義動画とテキストで構成されており、動画は計150分。mp4形式で提供されており、60分のものが1本と、90分のものが1本。テキストはPDF形式で約170ページです。どちらも「受験者専用サイト」マイページ内で入手できます。
講習は、同じくマイページ内の「講習受験」の合格をもって修了したことになります。講習のページに「テスト開始」というボタンがあり、それをクリックすると試験を始めることができます。
ちなみに講習受験の内容は重いものではありません。会社の研修で、e-ラーニング受講の場合、最後に確認テストがあったりしますが、そんな感じ。合格するまで何度でも受けることができ、合格後に本試験の受験資格が得られます。
講習の有効期間は、確認テストの合格後1年。例えば、2023年10月29日に講習受験に合格した場合、2024年の10月29日まで、講習なしで3級の受験ができます。
炭素会計アドバイザー資格3級を受ける理由3つ
ところで、環境省の脱炭素アドバイザーベーシックの認定資格のうち、私が炭素会計アドバイザー資格3級を選んだ理由は、3つ。
- 資格の名称がわかりやすい
- 実務で得た知識が体系化されそう
- Scope3を覚えるいい機会だ
です。順番に説明します。
資格の名称がわかりやすい
どういう技能を証明する資格なのかがわかりやすいというのは、わりと重要だと思っています。上司、取引先の人、転職先の人などに説明しやすいからです。
「炭素会計アドバイザー資格」なら、脱炭素に真剣に取り組んでいる会社の人なら一発でわかってくれそうですし、そうでない会社の人も「温室効果ガスの排出量算定についての資格です」と言えば「ああ、なるほど」と納得してくれるのではないでしょうか。
表記がしやすいのもポイントです。資格の名称にかぎ括弧やアルファベットの略語が入っている、運営団体の名前が入っているなどの場合、覚えにくいんですよね。
資格の正式名称を書くときに調べるのはけっこう面倒なものですが、この点、「炭素会計アドバイザー資格3級」であれば問題ありません。
業務で得た知識を整理できそう
仕事で脱炭素関連の集計業務にかかわっている人の中には、キーワードはだいたい頭にはいっているものの、全体像が見えないという方も多いのではないでしょうか。
私もその一人でした。例えば「CDP」「SBT」「TCFD」「WMB」「GHGプロトコル」「IPPC」の役割は?また、望ましい温室効果ガス排出量の算定方法とは?
そういったことがきれいに整理できておらず、人に説明を求められたら困るだろうなあという実感がありました。
この点、到達レベルを
- 脱炭素を巡る国内外の情勢について理解している。
- カーボンアカウンティングのサイクルについて理解している。
- 国際ルールを重視したScope1,2,3算定の考え方を理解している。
と設定している炭素会計アドバイザー資格3級は最適だと考えたのです。
Scope3の15カテゴリが強制的に覚えられそう
理由2と重なる部分もありますが、Scope3の15個の「カテゴリ」を把握したいと思っていたので。
今のところ実務はScope2が中心なのですが、GHG算定の範囲が広がりまた精度の向上が求められていることをひしひしと感じる中、Scope3もそろそろ「やれ」と言われそうだなあという気がしています。
Scope3は、ざっくり言うと自社の業務にかかわるサプライヤーさんやお客さん、また自社の従業員の出張や通勤による排出量が対象ですが、Scope3って15のカテゴリに分かれているんですよ。
この区分けがなかなか複雑で、強制的に暗記でもしないと頭に入らないだろうと思っていたところに、この試験のことを知り、いい機会だと思ったのです。
というところで以上、環境省の「脱炭素アドバイザー ベーシック」の認定資格「炭素会計アドバイザー3級」の概要と、私が受験を決めた理由3つについてお届けしました。
この記事を書いているのは、講習が完了した段階。試験はこれから1カ月以内に受ける予定ですが、すでに「業務で得た知識を整理できそう」「Scope3のカテゴリが強制的に覚えられる」は達成できたような気がします。
試験に合格したら、勉強方法や学習期間など、詳細を書きたいと思います!