ハイヒールの歩き方のレッスンが話題に。「日本ハイヒール協会」の「ハイヒール検定」なる資格が、6月18日にテレビ朝日「土曜ワイド劇場」の『100の資格を持つ女』で取り上げられて盛り上がり、同協会は、フランスのAFP通信社の取材も受けたそうで。
こちらが、土曜ワイド放映時の日本ハイヒール協会によるFacebookの投稿。
AFPが日本ハイヒール協会を紹介した記事はこちら。
私は、ニュースサイト「JAPANTODAY」に6月25日付で転載されていたのを、今日読んだのだけど、AFPによる記事は、好意的とは言い難かった。
冒頭、いきなり「フェミニストは見ないで!日本のファッションポリス(※)が、ハイヒールを履くよう説得することによって、女性を力づけようとしようとしている。彼らはこの国の歴史的な「着物文化」が女性の貧相な姿勢の原因であると主張している。」だしな。
(※fashion police=一種の冗談として、とんでもないファッションを取り締まる架空の警察組織—英辞郎)
5月のカンヌ映画祭で、ジュリア・ロバーツが裸足でレッドカーペットを歩くという行動をとったエピソードも書かれている。同記事によると、ジュリア・ロバーツの一件は、昨年のカンヌ映画祭で、平らな靴を履いた女性が入場を拒否されたことに対する抗議の意思表明だそうだ。
AFPの日本ハイヒール協会の記事で言及されてたのはこれか→カンヌ映画祭ではハイヒールがマスト?フラットシューズ着用者が入場拒否で波紋広がる https://t.co/4MvkPTeInD @fashionsnapさんから
— 小秋【素材屋小秋】 (@koakisan) 2016年6月27日
それから、5月にイギリス女性が起こした、署名運動についても触れられていたりとか。ハイヒールでの勤務を断った受付係の女性が、事務所から帰宅を命じられたことに対し抗議をしたのだが、それが10万人の支持を集めたという話。
英BBCの報道(2016年5月12日)などによると、ロンドンの大手会計事務所「PwC(プライスウォーターハウスクーパース)」に受付係として派遣されたニコラ・ソープさん(27)が15年12月、かかとが平らな靴を履いて初出勤した際、同事務所から「高さ5センチから10センチのハイヒールを履くように」と求められた。
西洋でそのような動きがある中、“「ハイヒール文化の素晴らしさ」を伝え、「ハイヒールをステキに履きこなし美しく生き生きとした毎日を過ごす人が増える社会」を作るための協会”はさぞかし奇異に、差別的に映ったのだろう。
ハイヒールの正しい歩き方のレッスンなどを行ってるだけで、「女ならヒール履けよ」って言ってるわけじゃないので、目くじら立てることないと思うんだけどな。男性にもヒール着用を勧めてるみたいだし(「ルイ14世のように」ってのが日本男性に訴求するかは、はなはだ疑問だが)。
ただ、AFPの記事では、日本ハイヒール協会(以下JHA)代表のマダム由美子氏は、日本人女性の歩き方をかなり辛辣に批判したことになっていて、それがお客である日本女性の反感を買うのではないかとヒヤヒヤする。以下、AFPの記事より引用。訳は筆者。
Japanese women walk like ducks,” JHA managing director “Madame” Yumiko told AFP in an interview at her plush Tokyo salon.
“They waddle along, pigeon-toed, with their bottoms sticking out as if they’re bursting to use the toilet. It looks ghastly,” she added.
「日本女性はアヒルのように歩く」JHAの代表“マダム”由美子は、東京の豪華なサロンにおける、AFPのインタビューで語った。
「彼女たちは、よたよたと内またで歩く。まるでトイレに行きたくて仕方のないように腰を突き出して。それは無残に見える」彼女は付け加えた。
まあ同意だけど。特にヒールを履いての、猫背でカックンカックンした歩き方は、見ていてイライラする。
なお、ハイヒールの歩き方教室は、日本ハイヒール協会以外にも存在する。例えば、2014年12月に日経MJに取り上げられていた「100歳ハイヒールレッスン」など。
【10日付MJから】最終トレンド面の特集は、年齢を重ねても美しく履く「ハイヒール 諦めない」。ヒールを履くための歩き方教室、その名も「100歳ハイヒールレッスン」が盛況です。脚への負担を極力減らしたヒール靴も人気に。ペタンコ靴に甘んじず、美意識を貫く女性たちの思いに迫ります。
— 日経MJ (@nikkeimj) 2014年12月10日
スニーカーとコックシューズを愛用している身としては、ペタンコ靴は「甘んじる」ことになってしまうのか…と複雑な気分だが、ハイヒールを履くと気分がアガる、という人を批判する気はない。ぜひレッスンで正しいハイヒールの歩き方を身に付けて、颯爽と歩いてほしいものだと思う。
ちなみに、AFPの記事で紹介されていた2014年の社会実験によると、ハイヒールを履いた女性に対しては、男性は積極的になりやすいらしい。女性が手袋を落とすという実験で、手袋が男性に拾われ手渡される確率は、ハイヒールの女性の方が、そうでない女性より50%高かったんだって。