博報堂エネルギーマーケティング推進室(そんな部門もあるんだな)の2015年11月の調査によると、「電力の小売全面自由化」を受けて、電力会社を「変えてみたい」と考えている人は約7割に上るという。4月4日付の日経MJより。
4月1日から始まった電力小売り全面自由化。博報堂の調査では、7割の人が「電力会社を変えてみたい」と答えており、人々が自分の意志で電力会社を選ぶスタイルが大きな流れとなる可能性を秘めている。ただ、変更時期については「最初に変えた人の様子を見て」「多くの人が変えるようになってから変える」が約8割と様子見層が多い。ブームといえる状態になるのには時間がかかりそうだ。
ちなみに日経MJは、2016年4月1日付で編集長さんが変わったらしい。今後紙面がどう変わるのか、期待。
【新編集長から】本日付でMJ編集長となりました中村直文と申します。欲張りですが、ビジネスマンが読んでも役に立ち、買い物好きが読んでも面白いと思う新聞作りにまい進します。読者あっての新聞です。「いいね」も「よくないね」も含めて、ご意見を伺いたいと思います。応援よろしくお願いします!
— 日経MJ (@nikkeimj) 2016年4月1日
そういやこの前、電車の中でMJ読んでるサラリーマン風の人見たな。日経本紙を手にしている人は多いけど、MJ読者を見たのは初めてだ。
さて、同調査によると、「電力の小売全面自由化」の認知度は約9割というが、これは「内容を何となく知っている」「内容は知らない」という回答も含めた数字。「内容を知っている」というレベルに限ると、5~6割にとどまるようだ。
私の同制度への理解は、地域の○○電力以外からも電気が買えるようになるらしいということと、ガス会社とか携帯電話の会社も電気を売るようになるらしいことぐらいだ。
いい機会なので、「電力の小売全面自由化」について、調べてまとめてみることにする。今更人に聞けないという人の参考になれば幸いだ。
まず、電力の小売全面自由化とは何か?
2016年(平成28年)4月1日以降は、電気の小売業への参入が全面自由化されることにより、家庭や商店も含む全ての消費者が、電力会社や料金メニューを自由に選択できるようになります。
つまり、ライフスタイルや価値観に合わせ、電気の売り手やサービスを自由に選べるようになるのです。
電力の小売全面自由化って何?|電力小売全面自由化|資源エネルギー庁 より引用
「全面」とは何かというと、電力の小売り自由化は、大口の消費者についてはすでに実現していたから。2000年に大規模な工場やビルからスタートして、00年代半ばには中小規模の施設に拡大、そして今年4月1日、一般家庭や小規模な商店も対象となったわけだ。
電力会社切替えの方法は?
資源エネルギー庁のサイトには、電力会社を切り替えるためのステップが示されている。
ざっくりまとめると、
1.切り替え先の電力会社に申し込みをする。現在契約の電力会社の解約は、消費者の同意があれば、切替先が手続きをすることができる
↓
2.電気メーターを通信機能を持つ「スマートメーター」に交換する。原則、費用はかからないが、工事費用がかかる場合あり。また、交換時に約15分の停電を伴うことも
↓
3.供給開始。なお、切替完了までの期間は、スマートメーターへの交換が必要な場合は約2週間、交換が不要の場合は4日程度とのこと
ということで、想像以上に面倒臭いようだ。よほど魅力的なスタートアップが現れたとか、特に関電を恨むような事情が発生するとかでない限り、我が家が電力会社の切り替えを検討することはなさそうだなー。切り替え先の電力小売り業者が倒産してしまったら、どうなる?という不安もあるし。
切り替え先の電力会社が倒産したら?
この疑問に関しては、FAQにこんな項目があった。
Q4.契約した電力会社が倒産したら電気の供給は止まってしまいますか?
A. それによりただちに供給が停止することはありません。 新たな供給元が見つかるまでの間は、各地域の電力会社(東京電力、関西電力等)から供給を受けることになります。
今さら聞けない電力自由化5つの質問|電力小売全面自由化|資源エネルギー庁 より引用
http://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/electricity_liberalization/faq/#q4
うーん、「ただちに」が引っ掛かるな。もう少し詳しい説明が、電力・ガス取引監視等委員会のサイトに掲載されていた。
問29.小売自由化後、小売電気事業者が倒産した場合や撤退した場合には電力供給が受けられなくなりませんか。
答.電気を購入している小売電気事業者が倒産した場合や撤退した場合、他の小売電気事業者と契約をしなければ電気の供給が止まるおそれがありますが、少なくとも2020年(平成32年)3月までの間は、現在の一般電気事業者の小売部門に家庭等への電気の供給が義務づけられていますので、他の小売電気事業者が見つからない場合でも、現在の一般電気事業者の小売部門と契約することで、現在の標準的な料金メニュー(経過措置の料金メニュー)で電気の供給を受けることができます。
なお、経過措置終了後は、セーフティネットとして最終的な電気の供給を実施すること(最終保障供給)が一般送配電事業者に義務づけられており、例えばそれまで供給していた小売電気事業者が倒産・撤退したような場合には、需要家は、他の小売電気事業者に切り替えるまでの間、一般送配電事業者と契約することで最終保障供給を受けることができます。電力小売全面自由化に関するよくあるご質問と回答集 | 電力・ガス取引監視等委員会 より引用
http://www.emsc.meti.go.jp/info/faq/answer.html#q29
「一般電気事業者」「一般送配電事業者」の違いが分からない…ということで、さらに調べてみたところ、まあ、どちらも東京電力、関西電力など従来の電力会社のことだと考えてよさそう。
「一般電気事業者」とは、電力小売全面自由化前の区分で、発電・配送電・小売業務を一貫して行い、一般家庭や商店に独占的に電力販売を行う業者を指していたが、その区分がなくなり、配送電を行う会社、すなわち東電他10社の電力会社は「一般送配電事業者」と呼ばれることになるようだ。
しかし、それが分かったところで、「経過措置の料金メニュー」「最終保障供給」の内容が分からなければ、不安が残るわけで…やはり我が家はしばらくは様子見ということでいこう。